大判例

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仙台高等裁判所 昭和27年(う)348号 判決

検察官は、特に、法廷に於て、原判決が収税官吏差押の本件犯罪に係る濁酒及び容器を沒収しなかつたのは、酒税法第六十条第四項の解釈適用を誤つたものであるから、検察官より控訴をしていない本件に於ては、職権を以て、原判決を破棄して本件を原裁判所に差戻されたい旨陳述した。そこで、この点について一言する。

検察官より控訴のない場合においても控訴審が、判決主文の刑の重くならない限り、その理由たる事実の認定及び法令の適用に付、被告人の不利益に、原判決を変更是正することは、職権を以て、これをなし得る。蓋し、この場合刑事訴訟法第四百二条の不利益変更禁止に反しないからである。しかし、その場合、控訴審がその判決主文に於て、苟も、原判決主文よりも、刑の全体又は実質を重くするものである以上、不利益変更禁止に違反すること勿論である。このことは、破棄差戻、移送後の判決に於ても、亦然りとする。

記録を調査するに、原判決に、所論の濁酒及び容器を沒収しなかつた誤のあることは所論のとおりである。しかし、検察官より控訴のない本件に於て、原判決の主文を被告人のため軽く変更しない限り、更に附加刑として、被告人に対し、新たに右の沒収を言渡すことは、破棄自判の場合は勿論、破棄差戻、移送後の判決に於ても、上叙の不利益変更禁止の規定上、これを許されない。而して、本件に於て、原判決の主文を軽く変更までして、右沒収の点に於て、原判決を是正する必要ありとは考えられない。

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